黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
それから数十分が経った頃には、はっきりと決着はついていた。
「ぅ…、っく…ぁ」
「だーから、言ったじゃん。
見た目で判断すると良くないんだよ、って」
「………っ」
「今までたくさんいたんだよな、お前みてえな奴らが。
だからその度俺はソイツらを叩きのめした。
―――今みたく」
「ぅっ……」
「今後は、見た目で人を判断しねえことだな。
……っし!
ほら、立てるか?
肩貸すよ」
返事を待たずに、地面に倒れていたコイツを強引に起こしてやった。
1人で歩くのは無理だろうと判断した私は、コイツの腕を私の肩に回し、溜まり場のいつもの部屋まで運んだ。
手当てしなきゃなんねえし。
骨までは私やってないから、痣やきり傷程度で済むだろう。
「滲みるけど我慢しろよ?」
「――――ってえ!!
おめえ、もうちょい優しく出来ねえのか!!?」
「せっかく人が手当てしてやってるっつうのに、文句かよ」
「うっ、……。
つか何手当てしてんだ、テメエは。
喧嘩した相手に…」
「言っただろ、試してみるか、って。
俺の実力をお前が知るための喧嘩だろ?
だったら、手当てしたって可笑しくはない」
お試しならば。
喧嘩が終われば、敵対しなくてもいい。
目の前に怪我人がいるのを私は放っておけない。
今まで喧嘩し合っていた相手であっても、お試し、であったのだから、喧嘩が終わった後なら関係はない。