黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「今まで仲良かった奴も、俺が麗桜組の息子だとバレた途端、…怖がって離れていった。
誰も近づいてこなくて、いつも独りきりで。
俺に少しぶつかっただけでも、凄くビビって怯えて必死に謝ってくる。
〝殺さないでくれ〟
そう言ってくる。
別に少しぶつかった程度で殺すはずねえのに」
「…………」
「ヤクザの息子だってことだけで怖がられるんだよ。
俺の場合、麗桜組だから更にな。
一般人には普通のことかも知れねえけど」
どうして、この家に産まれてきたのか。
ずっとずっとそう思ってた。
まだ小学校低学年という幼さの時に味わった、苦しいまでの孤独感。
それは私を狂わす、大きな原因となった。
「寂しく、なかったのか……?」
「そりゃ、寂しかったよ。…初めはね。
でも、慣れたよ。
ヤクザの家に産まれた以上は、仕方のないことだって踏ん切りがついた。
逆にね、独りでいることが、孤独でいることが当たり前になってた」
〝孤独〟
それほど寂しいことはないだろう。
でもそれが長年続くと、そうであることが当たり前となって。
団体行動が逆に嫌いになった時期もあった。