黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
渋々頷いたのを確認して、ギャラリーに目を向ける。
スゥッと息を深く吸い、覚悟を決めた私はギャラリーへ歩み寄った。
「キャアっ!
こっちくるわよ!」
「本当だ!」
近付いてくるのがわかるやいなや、ここぞとばかりに騒ぎ立て、連絡先の書かれたメモを持った手を伸ばしてくる。
ちょっと、いやかなり怖い状況だけど…。
それらを受け取り、
「あとで連絡するよ。
だから今日は家に帰るんだ。
夜は危ないからね」
「私も貰ってー!」
「わかったから、押しちゅ駄目だぞ?
怪我したら大変だろう」
…そう。
私が考えたのはこういうこと。
そうすれば満足して帰ってくれるかな、っていうささやかな期待から思いついたもの。
隣で憐慈もメモを受け取っていて。
でも、なかなか減らないその数。
「悪いんだけど、俺ら暴走に戻らないとならねえんだ。
通してくれないか?」
「待って!
私のも……っ」
「また今度会えたら、その時貰うよ。
今時間がねえんだ。
早く行かねえと総長に怒られちまう」
わざと眉を垂らしてみると、女の子たちはハッと息をのみ、道を開けてくれた。
「連絡まってるからねー!!」
という女の子たちからの言葉を背に、私たちはやっとのことであのギャラリーたちから逃れたのであった。