黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ








渋々頷いたのを確認して、ギャラリーに目を向ける。


スゥッと息を深く吸い、覚悟を決めた私はギャラリーへ歩み寄った。






「キャアっ!
こっちくるわよ!」


「本当だ!」






近付いてくるのがわかるやいなや、ここぞとばかりに騒ぎ立て、連絡先の書かれたメモを持った手を伸ばしてくる。


ちょっと、いやかなり怖い状況だけど…。



それらを受け取り、






「あとで連絡するよ。
だから今日は家に帰るんだ。
夜は危ないからね」


「私も貰ってー!」


「わかったから、押しちゅ駄目だぞ?
怪我したら大変だろう」






…そう。
私が考えたのはこういうこと。


そうすれば満足して帰ってくれるかな、っていうささやかな期待から思いついたもの。



隣で憐慈もメモを受け取っていて。

でも、なかなか減らないその数。






「悪いんだけど、俺ら暴走に戻らないとならねえんだ。

通してくれないか?」


「待って!
私のも……っ」


「また今度会えたら、その時貰うよ。
今時間がねえんだ。
早く行かねえと総長に怒られちまう」






わざと眉を垂らしてみると、女の子たちはハッと息をのみ、道を開けてくれた。






「連絡まってるからねー!!」






という女の子たちからの言葉を背に、私たちはやっとのことであのギャラリーたちから逃れたのであった。








< 188 / 242 >

この作品をシェア

pagetop