黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「ねえまっちゃん!!
教えてよ!!!」
咲希斗の叫び声。
あの咲希斗が声を荒げるなんて……。
「だから。
もう直ぐわかるって言ってるでしょ?」
「いっつもそればっかり!!
もう直ぐって一体いつなの!?
前からずっともう直ぐって言って、まだ何も教えてもらってない!」
「もう直ぐって言ったら、もう直ぐなんだよ。
本当にすぐだから」
「僕たちは〝今〟知りたいのにっ!
後回しにされるのはもう嫌だ!!!
ねえ答えてよ!
つっくんやまっちゃんは何者なの!?
ここはどこなの!?
八木原って勤のことなの!?」
………さき、と。
咲希斗の声は震えていて、泣いてるってすぐにわかった。
今まで溜まっていた鬱憤が爆発したんだ。
いつまでも何も言わない私たちのせいで。
「………。
いくら咲希斗が泣こうとも、僕の口からは言えない。
月夜なしに、勝手に言えることなんかじゃないんだ」
「僕たち友達でしょ…?!
友達でも言えないって言うの……?」
「ああ、言えない。
友達だからこそ、今まで言えなかった。
僕たちの秘密は、そんな軽いものなんかじゃない。
聞かれて、あっさり答えられるような秘密じゃないんだよ。
……僕や月夜たちにだってね、トラウマってもんがあるんだ」
理人はいかにも冷静に咲希斗を宥めるかのように言い放つ。