黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「まぁまぁ、航太。
捕まってなかったんだからいいじゃん。
ね?つっくん」
「咲希斗、俺はただ心配して注意してただけだよ。
怒ってるわけじゃない」
「航太がそういうつもりでも、周りから見たら説教してるのと同じだよ?
せっかく暴走で楽しんだんだから、説教はなし!
だよ?」
咲希斗に言われ、まだ納得の言ってないようだったが、黙って向こうにいってしまった。
「咲希斗、さんきゅ」
「当たり前だよー?
せっかくの暴走の日に説教だなんて嫌だもんね」
「そうだな」
「それに!
つっくんの初暴走だもんっ」
「初、か…」
青龍としては初かもしれない。
でも、暴走とひっくるめると初めてではなくって。
何度も経験したことのあり、私の年間行事の1つとなっている。
暴走自体は初めてではないけれど、初めてだったような感覚がした。
走るメンバーやルートが違うだけで、こんなにも変わるものなんだ。
「ねーえ、つ〜きやー?」
「ぅわ…っ、なんだ、……って、御堂?」
後ろから服の裾を引っ張られ驚き振り向けば、そこには御堂時雨が立っていた。