黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
最後まで冷静でいようと思ったけど、もう無理。
ていうかもう敬語なんて使ってらんない。
もうちょい我慢強かったら良かったのかも、私って。
「何だよ、月夜。
急に呼び出して」
「あ、観月来るの遅い」
「り、りじちょ…?!」
理事長を目に入れた途端、目の色を変えた。
「理事長、どうしましたか?」
「観月、このクラスの担任変えてくんない?」
「どうかしたのか?」
「実はさ………」
「柊っ、お前……っ」
松平を無視して、観月にいきさつを話した。
嫌がらせのことや、嫌み、授業になってないことなどを。
「…なるほどな」
「ち、違うんです、理事長!
このような不良共が世の中に出回ったら終わりですよ?
世の中クズばかりになってしまう…!
それを防ぐために更正させようと……っ」
「終わり?クズ?更正?
ふざけないでください。
これ以上うちの生徒を馬鹿にしようものなら、こちらはそれ相応の処置をとらせて頂きます」
「ですが…っ」
「聞こえませんでしたか?
こちらは簡単にアナタを解雇することだってできるんですよ。
この学校に生徒を馬鹿にするような教師はいりませんから」
解雇という言葉に、顔面蒼白にして慌てだした。
職を失うことが今のご時世何を示すのか、よく知っているのだろう。
就職難で、しかもこの年齢でクビにされては次の仕事はなかなか見つからない。
生活を養うお金を稼ぐことが確かではなくなってしまうのは確実。
そして何よりも。
学歴や権力を重要視している松平にとって、クビは泥を塗ってしまうことになるから何よりも避けたいはずだ。