黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「それに。
コイツらは見た目は悪くても、中身はいい奴らばっかですよ。
もっとも俺は、自分のことしか考えない奴のほうがクズだと思います」
「ッ!?
な、な……っ」
「ついでに言っておくと、そこにいる月夜は俺の従弟ですよ」
さらに蒼くした。
恐らく、理事長に今までコイツは媚び売っていたんだろう。
理事長に好かれるように、昇進できるように。
なのに、それさえも今台無しにしてしまったのだ。
理事長の親戚である私を、あろうことか理事長本人の前で馬鹿にしてしまったのだから。
「別に従弟だからって贔屓するわけではないですよ。
見たところ、黒板にかかれた内容も大学レベルのものですし、他生徒も追いついていないようですしね」
「…………」
「担任を変えます。
松平さんは職員専用室へ戻ってください」
観月がそう告げると、ガックシうなだれながら教室を出て行った。
静まり返る教室の中、私と観月の声だけが響いていた。
「わりぃな、月夜」
「いや、別に。
ていうか何でアイツ採用したんだ?」
「この学校にも1人は真面目な先生必要かなって思ったんだが、…失敗だったようだ」
「そう。
変わりって誰?」
「今空いてる奴は…っと、あー、アイツしかいねぇわ」
そう言って電話をかけた観月。
いつまでたっても出ないみたいだったけど、ようやくでたらしい。