黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
一階フロアに着くと、異様な雰囲気が流れていた。
―――…嫌な予感しかしないな。
あまり良くない状況なのか…。
エントランスへ向かうにつれて、緊迫した空気が強くなってきた。
そして目に入った光景。
「今すぐこのホテルを明け渡せ。
もともと俺らが泊まるはずだったんだよ」
「――ひっ」
「コイツがどうなっても、いいのか?
理事長さんよぉ」
男が青龍の下っ端の……、確か、渡抜幸也‐ワタヌキコウヤ‐くんを人質にとっているところだった。
幸也くんの首には、キラリと鋭く光るナイフ。
顔を真っ青にしてガタガタ震えている幸也くんは見てられないほど怯えていた。
早く助けてあげなくちゃ。
それに人質とる奴は嫌い。
だって、関係ない人まで巻き込んだ上に命まで奪おうとするんだもの。
いくら要求に応じてほしいからって、人として最低なやり方だ。
入り口付近を塞ぐようにしてソイツらが立っている。
服装からして、…っ!
神楽‐カグラ‐組…!!
うちと組んでいる組の1つで、結んで3年ってとこ。
ということは、私たちには猫かぶってたってけとか?
「はぁ…」
私もバカだ。
もっと早く気づけばよかったわ。