黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「俺はね、…〝裏のほうの〟後継者なんだよ」
「裏…?」
「世間一般では認められない組織のこと。
表向きは世界屈指の財閥、麗桜グループ。
そして裏向きは…?」
「…………」
眉間にシワを寄せる組長さん。
だんだん分かってきたのだろうか。
「裏向きはな、お前らと〝同じ〟なんだ」
「っ、おな、じ…?」
「ヤクザ、ってこと。
それにさっきからヒントはたくさん出てきてるよなぁ?
俺の着てるスーツは、俺の組での正装。
胸についてるこのマークを、知らねえとは言わせないからな?」
「ッ!!?
ま、まさ、っか……っ」
眼球が飛び出るくらいにまで目を見開かせ、唇をわなわなと震えさせる組長さん。
今更気づくなんて、…ね。
「もう、気付いただろう?
裏向きは、全国No.1のヤクザの麗桜組。
そして俺は麗桜組の後継者…、つまり若頭だ。
神楽組とは初めまして、だったよな」
「あ…、ああ、……っ!」
一気に怯え始めた。
その一方、後ろがざわめいた。
あぁ、そういやいたんだっけ。
聞こえちゃったかぁ…。