黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ








…………はぁ。


今更言ったって遅いか。
もう終わったことだし。





「幸也くん、いるか?」






遠巻きに見ていた生徒たちのほうへ目を向けて、呼び掛けた。





「あ、月夜さん!
俺です…っ!」


「いたいた」






幸也くんのところへ歩みよってみると、幸也くんの目には涙が溜まっていた。







「おいおい、男なら泣くなよ?
…ってまぁ、そりゃナイフ突きつけられたら誰でも怖ぇけどよ」


「す、すみませ…っ」


「謝る必要はないだろ。
……、怖かったな。
悪かった、巻き込んで」





ポンポンと頭を軽くたたく。







「これは俺の責任だ。
若頭として、もっと前に対処すべきことだった。
それを怠った俺が悪い。
危険なめにあわせて、すまなかった」


「そ、そんなっ」


「みんなも、聞いてくれ。
さっきも聞いたとおり、俺は麗桜組の若頭だ。
そして名前も柊は母親の旧姓で、本当は麗桜っていうんだ。
今まで隠してて悪い」


「…………、」


「俺のことが怖い奴とかいたら、それで構わねえ。
それが当たり前だからな。
ただ、俺は裏でコソコソされるのは嫌いなんだ。
言いたいことがあるなら、俺に直接言え」









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