黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ








結局ソイツを捕まえて消すことが出来ないまま夕飯が終了。





「はぁ…」


「つっくーん、部屋言ってお話しよ〜」


「おー、そうだな。
ケーキ観月から貰ったから食いながら話そ」


「……俺も」


「僕もいれて!」






一気に部屋のメンバーが集まった。


食堂から4人でギャアギャア騒ぎながら部屋に戻った。







「月乃は今まで好きな人とか、恋人とかできたことないの?」


「いきなり何だよ…」


「知りたいんだもん」






咲希斗と海翔はこのメンバーだけでいるときだけ、私のことを月乃と呼ぶようになった。


まだ咲希斗たちの口からは聞き慣れない呼び方に違和感を感じるけど、…ちょっぴり嬉しい気持ちもあったりして。







「うーん、…いた、のかな」


「なんで疑問形?」


「恋愛感情だったのか、もしくはただの憧れだったのかわからない」


「どういう人?」


「一言で言うなら、〝強い人〟かな。
自分で決めたことは最後までやり通す。
どこまでも真っ直ぐな人だよ」


「へぇ。
今でも会ったりするの?」


「――ううん。
会ってない。
いや、会いたくても今はまだ会えない」






今の私にはまだ、ケンちゃんに会う資格はないから。

私がもっと大人になって、あの日のことを自分の中で整理がつくその日まで…―――――








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