黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
海、入れないのかなぁ……。
楽しみにしてたのに。
ていうか、髪の問題もあるじゃん!
今私はカツラつけてるわけで、海なんかに入ったりしたらとれちゃう。
カツラ外れたら、赤い髪だってことがバレちゃうし、紅蝶だってこともバレる。
………ダメじゃん。
「俺、ヨルの女姿……、見たい」
「はっ?!」
「そういえば見たことないね」
「…、女物の水着ならあるんでしょ?」
「あ、あぁ」
「理事長に相談してみよ」
急遽海翔の提案で観月の部屋へ訪れた私たち。
中に入ると、暁はどうやらいないようで観月だけがソファーに座りながらキーボードを叩いていた。
「おー、どうした?」
「実は…」
事情を話すと、私を馬鹿だと暴言を吐かれた後、
「だったら、女として遊べば?」
「は?
バレちゃうじゃん」
「俺の妹として、だけどな」
「妹?」
「そうすればバレないだろ?
他の細かいことは、コイツらに任すとして」
てことは、みんなの前では〝月夜〟としてではなく、観月の妹としているってこと、か。