黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「名前も〝月乃〟でいいだろ。
俺も〝月〟入ってるし怪しまれない」
「そうだけど…」
「それに、頭のことは俺がどうにかしてやるから」
「頭?」
「コイツ、元は髪長いんだよ。
だから今のこれ、ヅラ」
観月がどうにかしてくれるというならば、…いいかな。
私だって久しぶりに海で遊びたいもの。
「よし、月乃以外でてけよ!
女が着替えんだぞ?」
そう言って咲希斗たちを追い出し、私に手渡したのは、
「ヘアカラー?」
「水に濡れても落ちない強力なヤツだから安心しろ」
観月がこうなるだろうと思って用意しておいてくれたみたい。
早速別室で水着に着替え、髪を茶色に染めた。
そしてカラコンを外したとこで…――――
「―――…、あ」
カラコン、どうしよう。
海に入るのにカラコンつけたままは完璧無理。
髪はどうにかなったとしても目はどうしようもない。
観月もそこまで頭回らなかったのだろう。