黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
八木原、無理して私を庇う必要はないよ。
私はこう言われて当たり前なんだから。
「八木原。
まだ、心の準備が出来てないんだろう?
今無理して言うことはない」
「…出来てないけど、でも、月夜くんが俺のせいで悪く言われるのは気分がよくないんだ」
「勤…、どういうこと?
説明してよ……」
息をのんだ八木原。
そして決心したかのように、暁たちを強く見据えた。
「月夜くんたちに俺は助けられたんだ」
「助けられた…?」
「暁には相談したんだけど、…お袋が倒れて、手術しないと助からない状態になってな。
でも、親父は〝アイツのために金使うつもりはない〟って手術代のお金を出さなかった。
だから俺、親父に何度も頼み込んだ。
暁に言われた通りに。
そしたら…―――――――」
それからのことを話し始めた八木原の目からは涙が流れた。
そうとう悔しかったのだろう。
辛かったんだろう。
そう思うと、私まで胸が軋む。