黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「そんな…――っ」
「苦しかった。
毎日が地獄で…。
無理矢理クスリを飲ませてクスリ漬けにするたび罪悪感に襲われて…………。
そんな時、今日、月夜くんたちが助けてくれた。
もう売買しなくていいんだって思うと気が軽くなった気がして……。
月夜くんが助けてくれなかったら、ずっと続けてた。
お袋のために。
月夜くんは俺の恩人なんだ、救世主なんだ。
だから、悪くいうな。
悪くいうなら、俺にしろ」
真実を聞かされた三人は、戸惑っていて、目を泳がしている。
いや、三人じゃなくて二人か。
暁はどこか冷静だ。
「勤、悪かった。
俺があの時もっと別の方法を言えば……」
「ううん、暁は悪くない。
俺が悪かったんだよ。
いくらお袋のためとはいえ…」
「僕も、なんも気づけなかった…。
ごめんね…」
「俺たちがいる。
安心してよ、勤」
「こっちこそ」
ほらね?
こいつらは、許してくれたじゃん。
だから怖がる必要はなかったんだよ。
でも、仲直り出来て良かったね、八木原。
「月夜くん、ありがとう。
助けてくれたうえに、勇気ださせてくれて。
多分、月夜くんが励ましてくれなかったら暁たちに言えなかったと思う。
本当に、ありがとう」
そう言って頭を下げた。
ちょ、ちょっと。
私お礼言われるの、なんか照れるんだけど…!
「…お礼言われるほどのことはしてねえ。
たまたま、だ」
「それでも。
ありがとう」
「…勝手に言ってろ」