黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ








「さっ、き、あんなこと言っちゃってごめん…。
勤は昔からの友達だったから……」


「別に気にしてないから。
言ったろ、例えお前らが俺を信じてなくとも、俺は困らない、って」


「………つっく、」


「だから、〝言い訳〟なんかいらない」


「っ!?
言い訳、って……」


「理人、行くぞ」






理人をつれ、自分の部屋に行った。


さっきのは言い過ぎた。


悲しそうに顔を歪める咲希斗を思い出すと、後悔した。


あんなの、本心じゃないのに。



でも口が勝手に動いていた。


私は強がりで素直じゃないから。




深くため息をつき、部屋を見渡すと、ハンガーに掛かった一着のスーツ。


真っ黒のスーツ。
胸元のポッケの部分には、ピンク色の刺繍が施されている。


刺繍は、〝R〟というアルファベットの周りに桜の花びらが散っているデザイン。




この刺繍のデザインは、麗桜組の証であるマークっていうのかな。


R、は麗桜の頭文字から、
桜の花びらは、麗〝桜〟の部分からとられたもの。




………このスーツは、麗桜組若頭の正装だ。







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