黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ





暁side



「ちょっと待ってくださいっ!」





俺の幼なじみである勤が、今まさにこの部屋から出ようとしている親父たちを呼び止めた。


八木原組が潰されてなくなっちまったことや、勤がクスリを売買してたなんて、…そりゃ、ショックだったが。



それ以上に、俺の不甲斐なさを感じた。


勤が苦しんでいたのに、なんで俺は助けられなかったんだ。

相談されたとき、もっと的確なアドバイスを言えたなら……、こんなことにはならなかったんじゃないか。



組の事情などのことなど知らない俺は、役に立たないだろうけど、けど、……助けてやりたかった。



勤にはいろいろと世話になって、何よりも大事な〝仲間〟だから。


紅蝶から教わった〝仲間〟の大切さ。



《仲間がいるから強くなれるんだ。
仲間を守れ。
守るために、喧嘩をしろ、強くなれ》



その言葉が俺の中に強く刻み込まれている。


だからそのために、俺は俺なりに精一杯仲間を守ってきたつもりだった。



なのに、幼なじみである勤を守りきれなかった。





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