黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
勤には、俺が紅蓮組の総長になった時、……一緒に手を組んでやっていきたい。
そう思っていた。
「住むとこは、自分でバイトとかしてなんとかする。
ウチが潰れた今、お金だけは残ってるし…。
それに、ヤクザの世界からは抜けないよ」
「抜けないって、紅蓮組系列から抜けて、僕たちの組の系列にも入らないんでしょ?
一体どこに……?」
「…まさか、自分で組を作る気なのか」
「それは、違う。
…そのこと、だけど」
少し不安そうな瞳をしながら、勤の視線の先にいたのは…―――、月夜だった。
そして、どこか決心ついた表情をした。
「月夜くん。
俺を、…入らせてください」
深々と頭をさげる勤から発せられた言葉に、誰もが固まった。
いや、正確には麗桜組関係者以外が。
麗桜組関係者、つまり、月夜や理人、組長である修さん、そして、その他の組員たちは、
まるで勤がそういうのを分かっていたかのよう。
みな、穏やかで優しい面もちだ。