黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「勤は凄いよ。
だって、全国No.1の麗桜組の若頭が目を付けたんだから。
そんな事滅多にないんだよ?」
「………、」
「ついでに言っとくと、月夜の目に間違いはないよ。
月夜の言うとおり、勤は鍛えれば強くなるよ、絶対。
だって、月夜がそう言うんだもの。
月夜が間違えたことなんて今まで一度たりともないんだからね?」
確かに、そうだ。
直に、月夜はこの組を継ぐ。
そしたら、ヤクザの世界のトップに立つ。
そんな男に目を留められるなんて、滅多にないことだ。
理人の言うとおり、勤は凄いんだ。
「勤くんは、麗桜組に入りたいか?」
「はい」
「そうか…、わかった、いいだろう。
月夜くん、勤くんを頼みました」
勤の目は真剣で、本気だってことが伺えた。
勤が本気ならば、俺たちは止める権利なんかない。
けれど、やはり寂しい。
小五の時から、仲良くて一緒だった勤がいなくなるのは。
「ありがとうございます!」
「八木原…、いや、勤。
これからびっちり鍛えてやる」
「はいっ!」
「それと。
暁たちに会いたくなったら俺に言え。
仮にも俺、青龍幹部だし?」
……あぁ、そうか。
一生会えないわけではないんだ。
月夜が幹部な限り、俺らと接点がある限り会うことは出来るはずだし、
連絡すれば会う約束だって出来る。