黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ







「………っ、つっくん!!」


「っ!?
な、なんだよ、咲希斗………」


「〝仮にも〟じゃないでしょ?!
つっくんはちゃんとした〝青龍幹部〟なんだからっ!!!」


「…っ!
……………、そう、だな」






咲希斗の言葉に、何故か悲しそうに目を伏せる月夜。


咲希斗の言うとおり、月夜は正式な幹部だ。

仮にも、なんかじゃない。



なのに、なぜそんな悲しそうなんだ……?






「月夜。
つーきーやーっ!?」


「――っあ、あぁ、なんだ?」


「暁たち案内しよ?」


「……そうだね。
その前に、勤、明日病院に行け」


「病院?」


「お袋さんの入院してる病院だ。
明日の10時に手術始まるみたいだから」


「え、手術!?
でもお金が…っ」


「もう払っておいた。
住むとこもここに住めばいい。
空き部屋はたくさんあるしな」


「………は?
そんなの悪いし…っ」


「鍛えて欲しいんだろ?
なら、ここに住んでもらったほうが俺としては楽なんだよ。
ただ、それだけだ」






〝気にすることはない〟と続けた。



月夜は、勤とは今日が初対面なんだよな?

なのに何でそこまで勤を気にかけるんだ…?



いや、勤が嫌いってわけじゃなくて、勤じゃなくて〝初対面の人に〟ってとこにビックリした。



普通、初対面の人にそこまでは出来ないだろ…。






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