黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
玄関には、暁たちの姿。
私たちを視界に入れた時、目をこれでもかってほど見開き、そして固まった。
「今日はお招き頂き…――――」
「そんな堅苦しい挨拶はいらねえ。
今日はのんびりしていってくれて構わない。
奥の広間で組長が待ってる」
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
堅苦しい挨拶は嫌いなんだよ。
こっちがどうすりゃいいか、わかんなくなる。
「月夜くん…?
どうして、ここに?」
口を開いたのは、咲希斗の側近である慧兎だった。
数人連れてきていいって言ったから、側近が来るのはおかしくない。
「慧兎!
お前、月夜さんに向かって何て口きいてんだ!?」
私が誰なのか。
藍川組の組長も、鐘田組の組長も。
紅蓮組の組長から聞いて知っているみたいだ。
だから、注意したんだろう。
でも、畏まられたりとか私嫌いなんだよね。
「藍川組長。
注意することじゃない。
逆に、畏まらなくていいんだけど」
「そういうわけにはいきませんよっ!」
「若!
ご案内は私共がやります!
若たちにご案内させるわけにはいかないですよ!!」
藍川組長が言ったのと同時にやってきた、麗桜組下っ端組員数人。
もの凄く慌てよう。