黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「……って、若たち、怪我してるんッスか!?」
駆けつけてきた組員たちの視線が集まったのは、私たちの顔や服についた血。
それは私たちの血じゃなく、赤の他人の血なんだけど。
「違う。
返り血だっつの!
大丈夫だから。
親父たちまだ居間にいるか?」
「いますけど…」
居間に行かねえとな。
服は向こうでスーツに着替えたし、ヅラもカラコンも付けた。
だから、スーツには最初返り血付いてなかったし大丈夫だと思ってたけど、
帰る途中、かつ上げしてる奴らを見かけて、ね……。
ついついやっちゃった。
このままの姿でいくのもどうかと思ったけど、また着替えるのも面倒くさいし、いっか。
「食事は終わってるのか」
「はい。
先ほど終わりました」
それは良かった。
食事中にこの格好はね。
流石にダメだし。
まあ、終わってて良かった。