黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
偶然か、と一瞬思ったけど、そうでもなさそうだ。
私たちが角を曲がれば、向こうも曲がり。
私たちが止まれば、向こうも止まる。
スピードをあげてみれば、向こうもまたスピードを上げた。
しかも、隠れてコソコソと。
――――つけてきてる、私らを。
まだ理人たちは気付いてはいないよう。
途中で言葉を止めた私を、不思議そうに見つめている。
「理人、海翔」
「どうした?」
「――――撒くぞ」
「へ?」
「黄狼がつけてきてる」
「っ!?
…………、そうだね。
海翔、もうここら辺はわかるよね?」
「ああ」
「とりあえず適当に撒け。
青龍の溜まり場に集合だ」
「了解!」
「暁、しっかり掴まっとけ」
「咲希斗も、ちゃんと掴まっててね」
そして私たちは、いつも以上にスピードをあげた。