黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ






偶然か、と一瞬思ったけど、そうでもなさそうだ。



私たちが角を曲がれば、向こうも曲がり。

私たちが止まれば、向こうも止まる。


スピードをあげてみれば、向こうもまたスピードを上げた。



しかも、隠れてコソコソと。




――――つけてきてる、私らを。





まだ理人たちは気付いてはいないよう。


途中で言葉を止めた私を、不思議そうに見つめている。






「理人、海翔」


「どうした?」


「――――撒くぞ」


「へ?」


「黄狼がつけてきてる」


「っ!?
…………、そうだね。
海翔、もうここら辺はわかるよね?」


「ああ」


「とりあえず適当に撒け。
青龍の溜まり場に集合だ」


「了解!」


「暁、しっかり掴まっとけ」


「咲希斗も、ちゃんと掴まっててね」






そして私たちは、いつも以上にスピードをあげた。







< 92 / 242 >

この作品をシェア

pagetop