黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
冷たい風が強く顔に当たる。
今の季節は冬の始めあたりだから、寒い。
私たちの格好はまだスーツで、コートもなにも羽織らずに来てしまったことに少し後悔。
途中で理人たちとわかれ、すらすらと目の前の車をかわしていく。
バックミラーをみても、まだついてきてるみたいだし…。
ここから本気、出しちゃうか。
「暁、しっかり、掴まっとけよ?」
「あ、あぁ」
暁に再度注意して、―――更にスピードをあげた。
角を曲がるときも、車をかわすときでもスピードを落とさず。
路地裏へと入っていった。
ここの路地裏は複雑にいりくんでるから、撒くのには最適だ。
「ふぅ。
撒いたみたいだな」
「お、前……。
死ぬかと思った…」
「ごめんごめん。
咲希斗がいうには俺、スピード狂らしいから」
「だろうな」
完全に撒いたのを確認し、のんびりと溜まり場に向かう。
私は後付けられるとかしょっちゅうあるから、撒くことにも慣れてて。
これぐらいのスピードをだすのもいつものこと。