黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「その前に1つ聞く。
―――麗桜組って知ってるか」
「うん、知ってるよ。
全国No.1のヤクザでしょ?」
「そう。
それなら話が早い。
―――俺の名前は、柊月夜、じゃない」
「っは……!?」
「それは偽名だ。
理由は俺の実家がどこかを隠すため」
意味がわからない、とでも言うようにキョロキョロ視線をさまよわせる航太たち。
1つ深呼吸をして、ゆっくりと口を開いた。
「俺の本名は、
―――〝麗桜〟月夜」
「れ、いおう……、ってまさか……っ!?」
「たぶん航太たちが想像してるのは合ってるよ。
俺は麗桜組若頭兼次期組長」
「僕は、麗桜組若頭補佐兼次期副組長だよ」
目を見開き固まってしまったみんなにさらに続ける。
「勤は俺が見込んで、麗桜組に勧誘したんだ。
鍛えればアイツは強くなるから」
「……………」
「紅蓮組組長からの了承も得て、今うちにいる」
すっかり黙り込んじゃったここは、シーンと少し重い沈黙が続いた。
自分のなかで整理してるんだと思う。
だっていきなりこんなこと言われたら、仕方のないこと。
混乱だってするし、酷い人はパニックになる人だっているはず。
パニックにならず、自分で落ち着いて整理するのは、凄い。
さすが青龍、とでも言うべきか。