恋模様
てことは…
喧嘩にならなかったんだな…
ふぅー、っと安堵のため息が出た
「一瞬、殴り合いが始まるかと思ったぜ…」
「ごめんね、柊さん」
敦は形見のカメラを鞄にしまい込んでいた
「それで敦君、何の用だったの?」
あたしの影から顔を覗かせながら円香が尋ねた
「あっ、そうだそうだ」
何かを思い出したように鞄の中をあさる
「これを渡すために康弘と会いにきたんだった…」
会いにきた?
ドクドクドク…
胸の鼓動が次第に速くなる
なんか、緊張する…