恋模様



睨み付ける



「な、何だよ…」



「あなたはまだ分かってないようですね…。折角、手加減してあげたのに…」



傷口を押さえていた手を離すと瞬く間に血が流れる



「自分借りを作るのが嫌いでな…」



神谷に近付く



拳を握り、一発殴った



「これは頭を殴った分。そしてこれは…」



もう一発殴る



「敦の眼鏡を壊した分だ!!」



……………………………………
…………………………………


遠くから救急車のサイレンが近くなって来た



相変わらず、血が止まらない



円香のハンカチは真っ赤になっていた



「もうすぐ着くからね…」



意識が朦朧とするなか、円香の泣き顔と敦の申し訳なさそうな顔が見えた



「大丈夫だから…そんな顔、すんなよな…」



自分が覚えているのはここまで。



次に目を覚ました時に写ったのは病室だった






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