恋模様



「爽は…」



空にあった視線があたしを見つめて来た



「ヤスのこと好きなの?」



「えっ!?」



いつもなら冗談を言って交わしたのだと思う



でも、今は…



真っすぐにあたしを捕らえる円香の目から逃れられなかった



「分からない…。でも、あいつもからかっただけだと思うし…」



「違うっ。違うよ…」



円香の迫力ある声は初めて聞いた



「円香…」



「佐伯は本気だよ。本気で爽の事好きなんだよ…」



ヤスは本気であたしのことが好き…



「ば、円香もあたしをからかってんでしょ?」



冷や汗が出て来る



あたしは「恋」というものがどんなモノなのか、知らない



だから、こういう状況をどうすればいいのか分からないでいた






< 44 / 96 >

この作品をシェア

pagetop