恋模様
「爽は…」
空にあった視線があたしを見つめて来た
「ヤスのこと好きなの?」
「えっ!?」
いつもなら冗談を言って交わしたのだと思う
でも、今は…
真っすぐにあたしを捕らえる円香の目から逃れられなかった
「分からない…。でも、あいつもからかっただけだと思うし…」
「違うっ。違うよ…」
円香の迫力ある声は初めて聞いた
「円香…」
「佐伯は本気だよ。本気で爽の事好きなんだよ…」
ヤスは本気であたしのことが好き…
「ば、円香もあたしをからかってんでしょ?」
冷や汗が出て来る
あたしは「恋」というものがどんなモノなのか、知らない
だから、こういう状況をどうすればいいのか分からないでいた