恋模様



「からかってなんかっ!!からかいで佐伯の気持ちなんか伝えなくない!!」



円香の目にうっすらと涙が滲む


「爽と佐伯とずっと一緒にいたから、傍にいたから分かる。あたしと爽、2人でいたとしても、佐伯の目はいつも爽を追っていた。いつもいつも…」



ついに円香が泣き出してしまった



「まど…」



「爽はいいな…。好きだって言われて、キスもして…」



円香の言葉にあたしの胸が締め付けられる



「円香あのねっ…」



あたしの言葉を遮るように立ち上がると、あたしに背を向けたまま言われた



「爽が付き合おうが…、あたしたちは1番仲のいい友達だから」



なぜか遠ざかって行く、円香の背中を追いかけることが出来なかった



一人になった屋上で、円香のように横になってみた



「円香はヤスのこと、好きなんだ…」



円香の言葉からすぐ読み取ることができた



「あたしはこれからどうすればいい?」



答えもしない空に問い掛ける






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