恋模様



「……だろ…」



「へっ?」



声が小さくて聞き取れなかった


「だから…」



康弘の瞳が俺を真っすぐに捕らえる



「好きでもないのにキスしねぇだろ…」



あー、康弘は本気なんだ



俺は手の拘束を解くと、康弘は顔を朱く染めながら、帰って行った



康弘の瞳から伝わる真っすぐな想い



康弘は冗談なんかで柊さんにキスしたのではない



順番は間違えていたと思うけど…



「柊さん…」



誰もいなくなった廊下で呟く



「俺は……」



康弘の姿はもう見えなかった






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