恋模様



それが敦にも伝わったようで、敦は困ったような顔をしていた



「ねぇ、柊さん…」



しばらく黙ったままだったが、敦が均衡を破った



「何だ?」



なるべく落ち着いた声で答える


でも、敦の言葉はあたしを更に取り乱させた



「柊さんは康弘と付き合うの?」



たぶん、飲み物が口に入ってたら、吹き出していた勢い



「はっ!?何言ってんだよ!!」



慌てて頭を振る



「そうだよな、何言ってんだか…」



「そうそう」



相打ちを入れるようにとんとん拍子で頭を縦に振った



「付き合うに決まってんのにな…」



「そうそう…………んっ?」



今、付き合うって…



「やっぱりな、そうだと思ったんだ」



「いや、あの…ち」



「付き合うんならやっぱり康弘の方がいいよね…」



「だから…」



敦は弁解の予知を与えてはくれない






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