恋模様



「な、どうしてだッ?理由は?」



ヤスがあたしに言い迫って来た


円香はどうすればいいのか分からないって顔をしてる



「理由?そんなの簡単だ。ただ、あたしがお前をダチ以上には見れなかっただけだ」



二人に背を向け、さっき晴れたばかりの雨上がりの空を見上げた



あ、虹だ…




「お前は、敦が好きなのか?」



びくっと一瞬、体がはねた



−ヤスと付き合った記念−



「違うな…」



「何が違うんだ!?」
「爽…?」



二人を振り返り、なるべく笑顔で…



「あたしは敦が好きなんじゃなくて、敦の撮った写真が好きだったんだ」



二人の顔が驚いたような、不思議がっているような変な顔をしていた



「それにな、ヤスの傍にはちゃんと男として見ているヒトもいるしな」



「誰だよ…」
「…………」



「えっ、円香!?」



驚いた顔をする



「後は二人の問題だからあたしはおさらばするな」



「ちょっと爽!!待ちなさい」



円香の呼び止めの声がしたけど、あたしは振り向きもせず屋上を後にした



だって振り向いたら



「っ…、ふぁ…」



泣いてることバレバレだかんね





< 60 / 96 >

この作品をシェア

pagetop