恋模様



あたしが最初に目に入ったのは、白い天井



次は今にも涙が零れそうな、円香の顔



ここが病院だと気付く



「あれ、あたし…」



「屋上で倒れてたんだ」



そう答えるのは、兄ちゃん



「円香ちゃんとヤスが見つけてくれたから良かったものの、あのままだったら…、危なかったんだぞ」



兄ちゃんがあたしを怒る



「兄ちゃんごめん…。円香、ヤスありがとう」



あたしの声はかすれていて、とても大丈夫そうでもないと自分でも分かるほどだった



「それにしても…何で屋上なんか行ったんだ?」



どうして屋上に行ったのか…



「自分でも分からない…」



「分からない!?」



兄ちゃんとヤスの声が重なった


「気付けば屋上にいた…。自然と足が向かっていたんだ」



そう、向かっていたんだ



「そんで…倒れたと」



「急に苦しくなって…、息が出来ないくらい苦しくなって…」



自然と涙が出た






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