恋模様



「爽…」



「忘れようと必死だった。けど、忘れることは出来なくて…。学校にはたくさんの想いでがあるから…」



涙が止まらない



「あたし、どうしたらいいのか分からなくて…。嫌いなはずなのに…あたし、あたしっ」



「爽!!」



円香が抱きしめる



その温もりが心地良くて、泣いた



声をあげて泣いた



泣き疲れたのか、睡眠薬のせいか静かに瞳を閉じた



…………………………………
…………………………
…………………………………


「なぁ、円香…」



「何?」



病院からの帰り道、あたしはヤスと一緒にいる



「俺、あんな弱い爽始めて見た…



「あたしもだよ…」



弱い爽どころか、爽の涙さえも見たことがなかった



恋はそれほど女を変えてしまう魔物なのね…



「爽、元に戻っかな?」



「そうだね…、元気になる方法はないものかね…」



「方法か…」



「…………」



その後、分かれ道で別れるまで、無言で歩いていた






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