勇者な二匹
「ちっ…、アイツこれも仕組みやがったな。」
「えー?ナタリアがそこまで考えるとは思えないよぉー?」
「アイツのズル賢さなめちゃいけないっすよリオン先輩!!俺、何度アイツに陥れられたことか!!」
「それは只単に君がバカだからだろう?」
「な…っ!!」
いつの間にか。
いつの間にかこの部屋に入り、ベラルーシの隣に並んでいた彼は、表情のない顔で鋭くそう言い放った。
真っ黒な髪を携える彼は、まるで漆黒。一度見つめてしまえば、あっという間に吸い込まれてしまうであろう、瞳も。
彼の名は確か、
「ナタリアッ!!」
そうだ。
彼はこの学園の生徒会長様の、 鷹種族 ナタリア様だ。才色兼備の彼だが、発するオーラにより誰も近づけない。謂わば雲の上の存在だ。
そして、もう一人の彼は、会長様の弟でありながら出来損ないの不良、 鷹種族 ベラルーシ。会長様とは違い、喧嘩の能力にしか長けていない。只、人懐っこい笑顔で誰もが引き寄せられる。
…キレたら誰もが手に負えないので恐れられてもいるが。