勇者な二匹
「鬼っ!!」
「お褒めの言葉ありがとう、ミジンコ。」
このドSっぷりも女帝と言われる由縁になっていると僕は思う。
本人は気付いてないんだけどね。
うん。気付いてない鬼畜野郎って何なんだろうね。
「ユリアン。」
「誰それ」
…ボケても容赦なく切り捨てるし。
「……」
黙りこくってしまった僕を見て、ユリアは溜め息を吐いた。
その瞬間、僕はバレないように笑みを浮かべた。
ユリアが溜め息を吐くときは本題に入りたい時だ。
だからこそ、それまで待てないで話し出すと途中で飽きられて聞いて貰えなくなる。
話したくても自分から話し出してはいけないのだ。
「ラビィ、何があったの?」
僕に話すきっかけを与えてくれるときのユリアは、本当に優しく話しかけてくる。
これで何度涙腺を刺激されたことか。
まぁ今回は涙腺を緩めるような内容じゃないから大丈夫だけど。
「…僕、さっき呼び出されたでしょ?」
「え?呼び出し?また先輩から?」
「いや、あの、理事長に。実際には会長だったけど。
てか、先輩に呼び出されたことなんて無いからね?
誤解招くようなこと言わないでよね!?」
「そうだっけ?」