勇者な二匹
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「んじゃー、お邪魔しましたー」
「ほーんと、邪魔だったわよ。」
「ユリアー、」
「早く帰んなさい?
精々狼さんに食べられないようにね♪」
「…………」
もうだめだ、この女帝様。
なんで人が助けを求めようとすると笑顔でやんわりと毒を吐くんでしょうか?
「ユリアのばかっ」
「あんたに言われたくないわよ。」
そう言って玄関でもたついてた僕を蹴った。
つーか蹴り飛ばした。
玄関の外まで。
「…っ!!痛いじゃんっ!」
「そんくらいで泣くなよ、男だろ?」
「いや、男になった覚えはないのですが。」
「あれ?そうだっけ?
まぁ細かいことは気にしないことの。」
そう言って微笑むユリアを見れば、他の皆さんはこの美しさに息を呑むだろう。
しかしだ、僕の場合はこの笑顔に恐怖に息を呑む。