ブルックリンの亡霊
「さっき渡したのは、この前行方不明になった生徒が食べていたディナーだ」


「まさか、毒が入れてあったとか?」


「そのまさかをこれから調べるのさ。


明日、結果を電報で知らせるよう頼んだから、今日は帰ろう。



ところで、今日、スウィングジャズコンサートのいい席が取れたから、これから行かないか」



その日の夜、コンサートが終わった後の帰り道のこと。


「初めてのコンサートはどうだった、メープル?」


「まあ、迫力はあると思ったな」


「その様子だと、どハマリしたとは言えなさそうだな。


でも、そこは人それぞれだから」


そう言ってキュリーは、さっき聞いていたスウィングジャズの鼻歌を歌いながら帰路についた。
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