そして、今日もキミを想う。【完】
ⅱ.消えた記憶
「まあまあ、ちゃんと話すって」
啓太は俺の席の正面の椅子を引いて、そこに腰掛けた。
「んで……、何でお前は宮崎にいるんだ?」
啓太はそう尋ねたが、俺の服装をジロジロと見て「出張か」と一人で解決した。
「そういう啓太と寿々歌は何で宮崎にいるんだよ」
「それは順を追って話す」
急に神妙な顔つきになった啓太は、長く息を吐いた。
この状況であまり良い予感はしない。
そして、悪い予感の方はよく当たるものだ。
「何で寿々歌は俺を覚えてないんだよ」
俺は啓太の目をじっと睨むように見て、答えを求めた。