そして、今日もキミを想う。【完】
「……それと」
啓太はそっと顔を上げて、俺の顔を見た。
「もうあいつは寿々歌じゃないんだ。あいつの名前は凛」
凛――。
あいつはもう俺の知ってる寿々歌ではない。
あいつは凛になってしまったのだから。
だが、俺の疑問はまだ解決されていなかった。
「何で名前を変えて宮崎に来たんだ?」
「あいつは寿々歌という名前を知らない。寿々歌という名前が、事故の恐怖を蘇らせるんだ。宮崎に来たのも同じ理由だ。少しでも事故の恐怖からあいつを遠ざけるためだ」
そんなにも恐ろしい事故だったのか……?
ふと視線を横にやると、笑顔で接客する凛がいた。