そして、今日もキミを想う。【完】
メニューを開いて、適当に安いものを選んだ。
今は何を食べたって、美味しいとも不味いとも感じられそうにない。
数分後、普通よりも背の高い男性が俺の頼んだパスタを持って、こちらへ向かってきた。
「ご注文は以上でよろしいですか……って、もしかしてお前、大悟?」
「――定?」
突然名を呼ばれ、伏せていた顔を上げると見覚えのある顔だった。
忘れもしない、印象深いその顔も、高校時代に俺の近くにいた奴のものだった。
東海林定は俺のもう一人の親友であった。
「どうした? お前、目腫れてるけど……」
定は当然の事ながら、俺が高校時代に寿々歌――今となっては凛だが――のことを好きだった事をよく知っている。
俺は今日の出来事を全て定に話した。
学生の頃は人の話をろくに聞いてた事も無かった奴なのに、何も言わず黙って最後まで聞いてくれた。