そして、今日もキミを想う。【完】

ほんの一時間で取引は終了。
遠くまで足を運んでもこんなところだ。

取引先の会社から出ると、じめっとした湿気と熱気が襲う。
いかに社内が冷房が効いていたことか。
でも、ふと気付くとさっきまで背中に降り注がれていた日差しはなかった。
空を見上げると薄暗い雲。
携帯のワンセグでお昼の番組を観て、天気を確認する。
東京は……じゃない、ここは宮崎だった。

「九州はこれから天気が下り坂に――」

この雲を見る限り、どうやら本当に雨が降りそうだ。
鞄の中に折り畳み傘が入っていることを確認して、腕時計を見た。
午後一時。
そろそろ昼食の時間だ。


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