そして、今日もキミを想う。【完】
『成人式帰りに事故』
小さく、悲しげな見出し。
その記事には三人の負傷者の名が書かれていた。
西寿々歌
大野啓太
東海林定
寿々歌――。
その名を見ると、心が痛む。
事故の起きた場所は、俺達の高校の近くの道路だった。
疑問があった。
寿々歌が記憶喪失したことを除けば、この事故は重傷者もいなかった。
だというのに、何故寿々歌は記憶を思い出してはならないほど、事故への恐怖を抱いているのか。
答えを聞けるのはこいつしかいない。
「定、もっと詳しく教えてほしい。この記事に載ってないこともあるんだろ?」
定は溜息をつくと、俺に目で合図した。
「分かった。場所を変えて話そう」