そして、今日もキミを想う。【完】
図書館を出て数分。
俺達は喫茶店に入り、並んだ二つの席に腰掛けた。
コーヒーを注文し、定が事故について話し始めた。
「……俺はあの事故を、事件だと思ってる」
事件?
早速、話が読めない。
でも、焦ったら終わりだ。
冷静を装って話の続きを聞く。
「成人式の終わりに、俺がお前に声かけたの覚えてるか? 高校見に行こうって」
「あぁ」
誘われた覚えがあった。
でも、その時俺は何か用事があって断った。
何の用事だったかも思い出せないほど、つまらない用だったのだろうが。
「大悟は行かなかったけど、俺と啓太と寿々歌で行くことにしたんだ」
“その帰り、事故が起きた。”
定はコーヒーを飲んで呟いた。