そして、今日もキミを想う。【完】
ⅱ.残酷な現実
微かな希望に望みを懸けて。
昨日の店のドアを乱暴に開けた。
バンッ!
ドアが勢いよく開いて壁にぶつかる音がした。
頭上ではカランカランと、ベルが大きく揺れて音を立てていた。
「――凛!」
「お客様、ドアが壊れてしまいます!」
俺の声と凛の声が、ほぼ同時に重なった。
幸い、店の中には客がおらず、この乱暴な入り方も恥じる事無く済んだ。
「あ……、ごめん。――で、啓太は?」
店内を見渡してみたが、啓太の姿は無かった。
凛はその質問に戸惑っているのか、視線を宙に彷徨わせている。
「い、今はいません!」
絶対にいる。
隠し事ができないのは、今でも変わっていなかった。