そして、今日もキミを想う。【完】
俺が後ろから啓太の肩を掴むと、啓太は舌打ちをして顔だけこっちに向けた。
「……何が知りたい?」
俺が肩を掴んでいた手を放すと、啓太は体もこちらに向けて、再び正面から向き合うことになった。
「凛……、寿々歌は本当は覚えてるんじゃないのか? お前のことも、……俺のことも」
啓太が床をじっと見つめる。
何も言わない。だんまりするつもりか。
「寿々歌の記憶があるとして、お前と寿々歌は今どういう関係なんだ」
明らかにこの小さな店は、啓太と凛で切り盛りしている。
将来も見えているようなものだ。
啓太は寿々歌と恋人同士であり、凛とも恋人同士である……。
考えたくもないが、そう考えるのが一番自然だった。