そして、今日もキミを想う。【完】
答えはすぐには帰ってこなかった。
啓太は穏やかな眼差しで、凛の姿を見つめた。
慈しむような、愛おしむような、優しい眼差し――。
啓太が本当に凛を、寿々歌を愛しているということがそれだけで痛いほどに分かった。
「来いよ、大悟」
啓太は俺に向き直り、手招きした。
啓太の歩調に合わせ進むと、通されたのは店の奥だった。
何等変わらない、ごく普通の家。
啓太は何も言わずに、2階への階段を上がっていく。
――一体何があるというのか。
何故、啓太はわざわざ俺をこんなところに連れてきたのか。
まだ、分からなかった。