そして、今日もキミを想う。【完】
第3章 苦幸
ⅰ.辛酸な幸せ
東京へ帰る。
来た時と違うのは、俺の隣に寿々歌がいること。
こんなことになるなんて、あまりにも予想外すぎる。
未だに、宮崎での出来事が全て夢だったのではないかと疑ってしまう。
「本当にいいのか? 店もあるんだろ?」
寿々歌は首を縦に振った。
「一応啓太もいるから……ね?」
啓太がすぐにあの店を去るわけではないだろうが、一人で店をやっていくのは当面無理だろう。
その責任の一部が俺にもあると思うと、心苦しい。
「……何とかなるよ、全部。だから今は少しだけ……、忘れさせてもらおう?」
彼女は優しく微笑んだ。
寿々歌もきっと考えていることは同じなのだろう。
本当に全てが何とかなるかは分からない。
でも、そうやっていつも寿々歌は前向きだった。
寿々歌が……帰ってきたんだ。