そして、今日もキミを想う。【完】

「寿々歌」

席を案内されたのにも拘わらず、立ち尽くしている俺を寿々歌は不思議そうに見つめる。

「俺のこと……、覚えてないか?」
「お客様?」

勇気を出して声を掛けてみたのに。
まるで彼女は覚えていないような態度をとる。
仕事中だからだろうか。
いくらずっと会っていなかったとはいえ、高校時代はずっと一緒にいた仲なのだ。
覚えていないはずがない。

「小宮大悟。高校の時一緒だった……」

彼女は黙り込んだまま、俺の顔を見た。
真っ直ぐな瞳が俺の目を捉える。

寿々歌はほんの一瞬目を見開いた。
しかし、出てきた言葉は予想とは反するものだった。

「――ごめんなさい。人違いではないでしょうか」

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