そして、今日もキミを想う。【完】
……人違い?
そんなはずはない。
あんなにも好きだった人のことを間違えるわけなど無い。
本当に覚えていないのか?
「ご注文が決まりましたら、お呼びください」
彼女は柔らかな笑顔でそう言い残し、俺の前を立ち去ると仕事を再開した。
ワケが分からないまま、俺は案内された席に腰を下ろした。
何故寿々歌は俺を覚えていないんだ?
考えてみても分かることではなかった。
俺の中には、ただ好きだった人の記憶に残っていないというショックだけが積もり続ける。
すると、またベルがカランコロンと音を立て、男が入ってきた。